SGHR summer gift 2016 vol.1 虹色風鈴 Keita Suzuki

2012年の誕生以来、Sghrの夏の風物詩となった「虹色風鈴」。風に揺れるたびに心地よい音色を奏でる姿は、まさに本物のしゃぼん玉のような美しさです。この風鈴をSghrとともに開発したのは、プロダクトデザイナーの鈴木啓太さん。「虹色風鈴」発売までの、試行錯誤の過程についてうかがいました。

しゃぼん玉のような美しさ

―「虹色風鈴」を着想したきっかけを教えてください。

僕が日々、興味を持っていることのひとつに「自然」があって。海、空、星、雪……、そういった自然の中にあるものをうまく立体に落とし込んで所有できたら楽しいんじゃないか。そんな思いから、「しゃぼん玉のような風鈴」というアイデアが生まれました。
しゃぼん玉は誰もが好きだし、一瞬でなくなってしまうという儚さも魅力。何よりも美しいですよね。とりわけ浮遊している姿が美しいものなので、同じように空中に浮かぶ風鈴にすることを思いつきました。

―着想から実現までは、スムーズに進んだのでしょうか。

それが大変で、なかなか自然な虹色を再現できなかったんです。最初の試作では、スキーのゴーグルのような虹色レンズに使う技術を応用してみたのですが、ぎらぎら光りすぎて、まったく儚さが感じられなくて。それでSghr さんに相談してみたら、ガラスの装飾を手がけている工場を紹介してくださって。そこが提案してくれたフェイクパールの塗料を使ったら、すごく理想的な仕上がりになったんです。

鈴木啓太

―2012 年の発売以来、進化している部分はありますか?

色のグラデーションや輝き、音の響きがより美しくなるように、少しずつ改良しています。ガラスの風鈴は、縁のカットの仕方や厚みで響きが変わってくるんですよね。その繊細な部分をコントロールできるのは、Sghrさんの高い技術があってこそだと思います。

―鈴木さんから見たガラス素材の魅力はなんでしょうか。

プロダクトに合わせて、いろいろな素材を扱っていますが、ガラスが一番きれいだと思います。ガラスは厚みを変えれば色も反射も変わるし、複雑に形状を変えられる。それは他の素材にはない、面白い特徴だと思います。

―デザインをする上で大切にしていること

「●●に捧げる」という小説の献辞がありますよね。それと同じように、「このデザインは誰に捧げるんだろう?」と考えます。たとえば、100人中98人くらいが喜んでくれる汎用性の高いデザインもあれば、100人中たったひとりだけが「これが欲しい!」と大切にしてくれるデザインもある。今回はそのどちらがふさわしいのか考え、一番いい答えを見つけるようにしています。

鈴木啓太

―「虹色風鈴」を使う方にメッセージをお願いします。

今はどんどん世の中が便利になって、何でも安価に手に入る時代。そんな中で、1年の限られた時期にしか使わず、季節が終われば箱に入れてしまっておく風鈴って、とても贅沢でいいなと思うんです。蒸し暑い夏も、この風鈴が目に入ったり、音色が聞こえてきたりするだけで、ふっと気持ちが軽くなる。視覚と聴覚の両方で、虹色風鈴の良さを感じてもらえたらうれしいですね。

埼玉県川越市の「コエドブルワリー」とSghr のコラボによって誕生した夏のギフト「Sghr×COEDO 漆黒」。
エレガントなシェイプのグラスが、軽やかな飲み口の黒ビール「漆黒 -shikkoku-」の味わいを引き出してくれます。
コエドブルワリー代表の朝霧重治さんに、コラボが誕生した経緯や、おすすめの飲み方をうかがいました。

クラフトマンシップのあるものづくり

―COEDOとSghrのコラボは、昨年の「伽羅 -kyara-」に続いて2回目となります。そもそものコラボのきっかけを教えてください。

Sghrさんから「ビアグラスを作ることに関心がある」と連絡をいただいたのが始まりですね。ガラスとビールという違い はあっても、どちらもクラフトマンシップを大事にし、地域に根ざしたものづくりをしている。お互いに通じ合う部分があって、相性の良さを感じました。だからこそ、1 回限りのコラボ商品を作って終わりというのではなく、ものづくりを通じて長く関係を続けていきたいと考えています。

―実際のコラボはどのように進められたのでしょうか。

まずはグラスを作る職人さんにCOEDOビールを飲んでいただき、感じたことを自由に表現してもらいました。色に注目する方、ワールドビアカップの受賞をモチーフにする方、苦みや香りに着目する方……。それぞれ着眼点が異なるのが面白かったです。

C OE DO 漆黒× Glass Shigeharu Asagiri

―朝霧さんが考える、ビールとグラスの関係とは?

ビールって“生中”とよく言われるように、ジョッキで飲むイメージが強いですよね。でも、ビールの多彩な色や香り、味わいを楽しむためには、もっといろんなグラスがあっていいと思うんです。グラスの形状によって、ビールの味わいは大きく左右しますから。

―ビールの作り手にとっては、どんなグラスが理想なのでしょうか。

グラスにはいろいろな素材があるけど、色を楽しむならやっぱりガラス製。さらに、立ち上ってくる香りを感じやすい形状で、口当たりが心地よいものが理想です。

―完成したグラスを見た感想を聞かせてください。

口元がすぼまっていて、しっかり香りを楽しめる形状になっています。「漆黒 -shikkoku-」は黒ビールならではのチョコレートやコーヒーのような風味を持ちながらも、軽やかな仕上がりが特徴。その洗練されたイメージが、グラスの繊細なシェイプにぴったりですね。

C OE DO 漆黒× Glass Shigeharu Asagiri

―近年クラフトビールの人気が高まっていますが、COEDO が目指す方向性についてお聞かせください。

COEDOは突出した特徴を出すというよりは、口当たり、味わい、香り……と総合的なバランスを意識して作っています。それは、日本人の味覚のベースに薄味で繊細な和食があるから。だから自然と海外のビールとは違うものが生まれ、個性になっていると思います。現在は、バーボン樽で熟成させたり、乳酸菌で酸味を出したり……と、世界各国で新しいスタイルのビール造りが生まれている最中。当社でも小さなロットからできるラボを用意しましたので、実験的な取り組みを進めていきたいですね。

―「Sghr×COEDO 漆黒」でビールを楽しむ方へメッセージをお願いします。

とても素敵なグラスなので、泡をしっかり立てながら丁寧に注いで、余韻を感じながら飲むのがおすすめ。つまみを選ぶなら、炭をつかったものやスモークしたものが黒ビール独特のロースト香と好相性です。ボトル1本がちょうどグラス2杯分なので、1杯目は冷えた状態で口いっぱいにほおばるように、2杯目は少し温度が上がった状態で、麦芽のコクやロースト香を楽しんでください。

C OE DO 漆黒× Glass Shigeharu Asagiri