職人インタビュー:Kenji Matsuura|2014 SGHR SUMMER Vol.2 | coedo×sghr Beer Glass Collaboration fair| COEDO×SGHR likka(リッカ)COEDOビール伽羅kyaraを楽しむためにデザインされたコラボ限定品です。

職人インタビュー:Toru Era|coedo sghr 2014 sghr summer vol2 Beer Glass COEDO×SGHR su(素)COEDOビール伽羅kyaraを楽しむためにデザインされたコラボ限定品です。

 ワイングラスなどの酒器を多く手がける、SGHR職人歴8年の江良徹(29)。COEDOビールの「伽羅 -kyara-」を愉しむために作ったグラス「SU(素)」は、風鈴のようなフォルムが美しい作品。薄く吹いたグラスは一見繊細だが、「伽羅 -kyara-」を注ぐと表情は一変。赤みがかった深い黄褐色と芳醇な香りが強い存在感を放つ。「自分の使いたいものを作りたい」という江良のこだわりが溢れた「SU(素)」について、話を訊いた。


ビールが主役になるグラス

--「SU(素)」のコンセプトを教えてください。
 ビールグラスなので、装飾があるとビールよりグラスのほうが目立ってしまいますよね。僕は、ガラスの良さは光が通って透明度が高いところだと思うんです。そのガラスの良さを利用して、飲み物が入ったときに輪郭を消せるくらいガラスの厚さを薄くして、ビールが主役になるグラスを作りました。僕は普段、ワイングラスを作っている職人 なので、薄く吹くのが得意なんです。その経験を活かして作りました。

--苦労した点は?
 丸いグラスって光が入ると中で乱反射して、きれいにガラスが光るんですよ。なので、きれいに丸を残しつつ、底をちゃんと作って、すわりをよくすることですかね。フリーハンドでやったり、既存の型を使ったり、薄さや軽さをいろいろ試したり、一週間くらいはずっと試作品を作っていました。あと、飲み口の大きさもいろいろ試しました。人によって鼻から口の長さって違いますよね。それを考慮して、他のグラスとも比較して、どれくらいの直径がいいのかを考え、ちょうどいいところを選んで作りました。

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--製品化された感想を教えてください。
 とにかく自分が欲しかったので、自分の手にあればいいかな、と(笑)。7月に職人のデモンストレーション付きビア・パーティがあって。お客様を工場に招いて、このグラスを使って試飲していただいたときに、お客様から直接感想を伺いました。使った感想を直接伺うと、やっぱりすごく嬉しいですね。“SU”という名前は、ビールをよくするための素材という意味で名付けたので、「“SU”という名前通りだね」と言っていただくことが多かったですね。
 今回の「伽羅 -Kyara-」というビールは足し算のビール。モルトとホップを7種類ブレンドしたビールなので、雑味やえぐ味が強くなるんです。COEDOビールの皆様には、 「えぐ味をうまくやわらげてくれて、うまみを味わえるビールグラスだ」と言っていただきました。

--「SU(素)」を作る工程を教えてください。
 まず、鉄のパイプに少量のガラスをまいて、小さな風船を膨らませるように少し膨らませます。ガラスは液体なので、一回に多くは巻き取れないんです。なので、一回小さいガラス玉を作って、その上にまた液体のガラスをまきとりながら必要な量を巻いていきます。そこから表面をならして、息を型に吹き込みます。吹いたときは、風鈴のような丸形なので、部分的に再加熱をして、底を作ります。あと、ガラスは常温に熱いまま置いておくと割れてしまうので、500℃から常温まで温度を下げる徐冷炉(じょれいろ)に入れて、その後、口を作るなどの加工をして完成します。

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自分が思うガラスの美しさをできる限り形にしていきたい

--江良さんの思う、SGHR製品の魅力を教えてください。
 SGHRはデザイナーがいるわけではなく、普段ガラスを触っている職人がきれいだと思う表情を切り取って製品化できるのが魅力だと思います。
 僕は中堅ですが、若い職人がたくさんいて、「僕ががんばらなきゃ」と思える環境も魅力のひとつですね。あとは、ガラスを常に触っていられる環境でしょうか。ガラス工場は、休み時間にガラスを触れないところが多いのですが、SGHRは製品や仕事にバックしてくれればいいという方針なので、休み時間でも自由に触って練習できる。若い子も やる気になりますし、それが一番の魅力かもしれません。

--江良さんのガラス製品の哲学を教えてください。
 僕はプライベートでベネチアンガラスの作品を作っているので、SGHRの製品はあえて装飾せずに、ガラスのきれいな肉質で表現したいというのがテーマですね。ガラスっ て膨らませるからきれいになるんですけど、そのきれいな状態をいかにキープしてお客様に見せられるか。それが僕の思うガラス製品の見せたいポイントなので、自分が思う ガラスの美しさをできる限り形にしていけたらなと思っています。

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