インディゴブルー、タン 、ワインレッドといった、2000年代に入ってから大ヒットしたSghrのオリジナルカラー。コバルトブルー、アンバーといったSghrの定番だったカラーから脱却し、モダンな暮らしにあった落ち着いた色目を開発したのが、功を奏したものでした。
それから、年月が経ち、次の色目はどんなものがと考えた時に浮かんだのが、グレーでした。ガラスの色としては、グレー系の色というと、スモークと言われる色が一般的でしたが、もっと深みのある色を作りたい。たくさんのカラーサンプルをかき集め、クールさの中にも温かみがあるグレーという方向性を見出し、試作を重ねました。ガラスの色の難しさは、絵の具のように色を計算して掛け合わせると生まれるような単純なものではなく、鉱物の量を微妙にコン

トロールしながら、少しづつ期待する色に近づけていかなければならないところにあります。 試作を進めると、上述の「クールさの中にも温かみがある」色を実現するには、グリーンをベースにしたカラーが一番イメージに近いという結論に達しました。しかし、この結論が難しさをさらに深刻なものにしました。グリーンが少しでも強く出ると、急に野暮ったくなってしまうのです。グリーンを感じるか感じないか、いや感じる直前の色が、一番美しい。そこのポイントを見つけるには、1年近い月日がかかりました。
そうして生まれたこのカーボンブラックは、男女問わず愛され、飲み物や食べ物の色を思いがけないぐらい引き立てる、素敵な色になったと自負しています。 皆さまの暮らしを静かに、スタイリッシュに、そして暖かく彩る、そんなガラス製品として存在できれば幸いです。