ガラスの新しい可能性を追い求め、想いを込めた2025年の新コレクションをご紹介します。
数量限定の希少な休止品を紹介する、オンラインショップを公開しています。
これまでに多くのデザインをして、さまざまな製品を世に送り出してきた職人にも、最初にデザインした製品があります。右も左も分からない駆け出しの時期に描いた「こんなガラスがあったら良いな」という素朴な想いは、経験と技術を積み重ねたその後のデザインにもどこか通ずるものがあるように思います。職人それぞれの感性や、そこに込められた想いを“ファーストデザイン”を通じて聞いていきます。
明石正生
自身のデザインしたことりの一輪挿しや型吹きの製造、ほかに「巻き屋」と呼ばれる上ダネ巻きなども担当。丁寧に一つ一つの工程を重ねることで良いものづくりを目指し、自身のデザインや作品では出来るだけ他にはないものを求めて日々ガラスを探求している。
デザインした主な製品はこちら
職人のファーストデザインを見ると、それがかなり前のものであっても、近年のデザインとどこか共通するものを感じます。年数を重ねて技術は向上しているにもかかわらず、それが不思議です。今回話しを聞いた職人の明石がデザインする製品も、グラス、一輪挿し、調味料入れ、エッグスタンド、プレートなどと、さまざまなラインナップがありますが、一貫して明石らしさがあって、次はどのような製品をデザインするのか楽しみになります。
明石:大学は経済学部だったんですけど、ゼミの先生が「本物を大事にしなさい」と言っていて、職人の世界とかを紹介してくれて、そこから漠然とものづくりの世界に憧れを持ちました。それが職人を志したきっかけですね。大学を卒業してからは、個人のガラス工房の手伝いをしていたのですが、そこは宙吹きばかりをやるところで、もうちょっとカチっとしたものづくりが良いなと思いました。どうせならヨーロッパに行ってみようと考えて、ワーキングホリデーのビザを利用して、短期間ですがフランスのバカラというメーカーで働きました。
明石:日本に帰ってきて、同じような工場生産のメーカーが良いなと考えていたので、ちょうどスガハラが職人の募集をしていたので応募して入社することができました。この〈セン sen〉 をデザインしてその年の新作で発表してもらったのは、入社2年目だったかと思います。毎月、職人が中心となって行っている研究会のその時のテーマがお茶用のグラスで、いろいろ考えた結果、茶筅の形をそのままグラスにしました。お茶を点てる道具って他のもので代用ができるらしいんですけど、唯一茶筅だけは代用ができないそうで、そういう道具であることにも惹かれました。
明石:あれだけ宙吹きの曖昧な形が嫌だと思っていたのに、茶筅を模したこのグラスの表面は、自分で型を手彫りしてるんですよね(笑)。しかも、穂数が64本の常穂を再現しています。ふとした時に誰かが数えて気づいてくれたら嬉しいなと。それと特徴としては、通常であればこの底の部分はガラスの塊になることが多いのですが、あえて底を抜いているので、例えば抹茶パフェなんかの器になったり、ちょっとしたお花を活けたりできると思います。
現在は販売をしていないフロスト(艶消し)タイプを、数量限定で復刻販売いたします。