Sghr の製品の多くは、職人が自らデザインを手がけています。これまでに、さまざまな製品を世に送り出してきた職人にも、最初にデザインした製品があります。右も左も分からない駆け出しの時期に描いた「こんなガラスがあったら良いな」という素朴な想いは、経験と技術を積み重ねたその後のデザインにもどこか通ずるものがあります。職人それぞれの感性や、そこに込められた想いを“ファーストデザイン”を通じて聞きます。

毎年発表する新製品のなかには、まだ経験の浅い若手職人がデザインした製品が含まれることがあります。製品化するための技術や経験が不足していたとしても、日々ガラスに接するなかでの気づきやデザインが、熟練した職人の手を借りて多くの方に使っていただく人気製品となることもあります。今回、話しを聞いた職人の出口が最初にデザインした〈nozomi〉もそんな製品の一つです。

出口:ガラスとの出会いは小学校低学年の時です。家族旅行で滋賀県の黒壁スクエアと言うガラス工房やショップなどが連なっているところに行って、そこで売られていたガラス細工を見て「あ、ガラスいいな」と思ったのが最初ですね。親に一つずつ買ってもらったガラス細工を勉強机のライトの下に並べるのが、子ども心にすごく嬉しかったのを覚えています。小学校の卒業文集にはすでに「ガラス細工職人になる」と書いていました。高校もデザインや美術が学べる学校に進んで、その後富山にあるガラスの専門学校に進みました。


出口:富山の専門学校はどちらかというとアーティストを育てるような自由な校風だったのですが、私はもともと職人の世界に憧れがありましたし、カチッとしたものづくり、そして吹きガラスが好きだったので、学校を出て求人情報があったスガハラを選びました。〈nozomi〉のデザインは、入社して2年目だったと思います。今年で8年目なので、だいぶ前のことのように感じますね。「いつか会社を辞める時までに(笑)、自分の名前をカタログに載せたい!」っていうのが、入社当時からの目標としてあったんです。やるなら自分が一番よく使うグラスがいいなと思って、とにかく当時は何か形にしたい一心でした。


出口:私はストレートでパキッとした、シンプルなグラスが好きなんです。まずラフなデザイン案を出して、そこから製造の安定性や使い勝手を考えて、大先輩の塚本さんに相談しながら、凹凸の出し方やラインを試行錯誤して製品になりました。底から斜めにうねって上がるような有機的な曲線が私が見せたいポイントで、当時カタログ写真でもそれがしっかりと表現されていて嬉しかったのを覚えています。水や炭酸など透明なものを入れると、その溜まった部分に色が映り込んで動きが出るんです。入っている時といない時の差を楽しんでほしいですね。


