作家・料理家 麻生要一郎さん

贈りものが気持ちをカタチにしたものだとしたら、あの人はどんな贈りものをするのだろう?たとえば、家族に、友人に、両親に。どのように言葉にできない想いを託す “もの” を選んでいるのだろう?シリーズ「あの人の贈りもの」では、ギフトのシーンだけでなく、もっと気軽でなにげない “ガラスの贈りもの” に込められた想いを紹介していきます。

今回、贈りものを選んでいただいたのは、作家・料理家の麻生要一郎さん。日頃からさまざまな分野で活躍されるご友人を招いて、なにげない日々の食卓を囲むことが多いという麻生さん。共に食卓を囲むことで繋がった3名のご友人の方々へ、ガラスの贈りものを選んでいただきました。

麻生要一郎(あそう・よういちろう)
作家・料理家。1977年、茨城県水戸市生まれ。建設業やゲストハウス運営を経て、料理の道へ。家庭的でやさしい味わいの料理に定評があり、お弁当のケータリングや雑誌でのレシピ提案、エッセイ執筆など幅広く活動。著書に、初の自伝&食エッセイ『酸いも、甘いも。あの人がいた食卓1977-2025』(オレンジページ)などがある。
Instagram: @yoichiro_aso

麻生さんが提案する料理のレシピには、麻生さん自身の人生の歩みに寄り添った家庭料理が多くあります。気どりがなくて、すっと心身がほぐれていくような料理。実家の料理、とも言えるでしょうか。ただ美味しいだけではなくて、人の記憶や家族友人との繋がり、そんなことと共にある料理なのだなと感じます。

小学生の大切な友人へ

「我が家によくやってくる、小学生の友人。彼女はりんごジュースや、烏龍茶をお気に入りのワイングラスで飲むのが好きで。時折、グラスの縁を撫でて音を奏でることも。グラスの佇まい、あわい色が、彼女にピッタリだなあと思って選びました。いつもまわりが大人だらけなので、食卓で使う自分のお気に入りのものって、ちょっとした居場所になったりするのかなと。例えばアンティークとかだと、せっかく気に入っていても割ってしまうと替えがないですけど、この製品は大丈夫ですしね」

バーをはじめる友人へ

「我が家によくごはんを食べにくる、建築家の友人。彼にウィスキーを薦めるうち、とうとうウィスキーのバーを始めることに。僕も経験ありますけど、飲食店をやるって本当に大変だから、ちょっと心配。お店は、やるより行ったほうが楽ですよ(笑)なので、自分でひと息飲むマイグラスとして使ってもらえたら。飲み過ぎ注意の念も込めて。」

食卓をみんなで囲むこと

取材中、麻生さんが聞かせてくださったミュージシャン 坂本美雨さんの新曲『食卓』。よく家に遊びに来るという坂本美雨さんが、麻生さんの家で共に食卓を囲む情景を歌った、心温まる一曲です。食卓をみんなで囲むこと、それは麻生さんにとってどのようなことなのでしょうか。

「幼少期、父は仕事で忙しくて、母と二人の静かな食卓でした。でも、食卓をみんなで賑やかに囲むということは憧れとしてあったような気がします。たとえば以前、新島で宿をやっていたんですけど、その頃もスタッフだけでなくお客さんまで混じって、狭いスタッフルームでぎゅうぎゅうでご飯を食べたりして。それも楽しかったんですよね」

「食卓にのるものは何でも良いと思うんですよね、凝った料理でなくとも。ちょっとそれ取ってとか言い合って、美味しいねとか、美味しくない、とはみんな言わないけど(笑)でもそういう時間のなかで話したりして、大変な時代だけど、明日も楽しくがんばれるのかなというのがね、いつも良いなと思えるんです」

花屋を営む友人へ

「下落合にある Hljóð(ヒュウド)という花屋を営む友人。花屋って、立派な花瓶も必要だろうけど、先が折れてしまったお花とか、そのあたりに咲いているような野花をそっと活けるのに使ってもらえたら。お店にこれがちょこんとあると、小さなお守りのようになるかなと思いました」

写真 加治枝里子
構成/文 山根晋
2026年7月