四季折々のうつろい、によって形づくられた、美意識。
ゆたかな風土、によって育まれた、感謝の念。
和食を食べること。
そして、食べることだけではなく、
旬の食材を選び、手間をかけて作り、共に味わうこと。
その一連のなかに、私たちにとって
忘れてはいけない、大切な何かがあるような気がします。

今回のSghr magazineでは、丁寧でわかりやすい内容が好評の
和食レシピサイト『 白ごはん. com 』に掲載されている料理に合わせて、
ガラスのうつわを選びました。

“ハレ”の食、“ケ”の食にかかわらず、
どんな和食にも込められているであろう
美意識や感謝の念を、
華やかさとともに、映し、引き立てる。
そんな、ガラスのうつわをお楽しみください。

七草がゆ × 飯碗

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豪華なおせち料理やお祝いのお酒で弱った胃を休め、無病息災を願う目的で、1月7日の朝に食べられる七草がゆ。一般的に、春の七草とは、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな(かぶ)、すずしろ(大根)の7種のことを言いますが、これは関東に限ったこと。別の地域では、ごぼう、油揚げ、干し柿、栗などを入れることがあるようです。また、前日6日の夜に、七草をまな板に載せて、包丁の背などで細かく叩き準備をしておくのが正式で、その際に「七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らなぬ先に ストトントン」という唄を歌います。これも地域によって、バリエーションがあるようです。

『 白ごはん.com 』掲載のレシピ

● 七草がゆ

飯碗

ご飯を盛るための器をガラスで作りました。毎日の食卓に彩を添えます。豆ごはんにはグリーン、さつま芋ごはんにはワインレッド、きのこごはんにはカーボンブラックなど。季節の食材にあわせて、カラーバリエーションもお楽しみいただけます。

豚バラ白菜の重ね煮・春菊のごま和え × キッカ

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まさに和食の定番メニューのように思えますが、原産地が中国の白菜が日本国内に伝わったのは、意外に歴史が浅く、明治になってからだそうです。そして豚肉も、古くから食べられてはいましたが、肉食を避ける宗教的な慣習が歴史的に長く続き、広く一般的に食べられるようになったのは、明治以降のこと。そう考えると、現在のような家庭和食のバリエーションが食卓に並びはじめたのは、割合に最近のように思えます。よく言われるように、到来した文化や慣習と交わり、新たなものを生みだすのが、和の真髄。もちろんそれは、食においても言えます。

『 白ごはん.com 』掲載のレシピ

● 豚バラ白菜の重ね煮
● 春菊のごま和え

キッカ

菊の花をイメージし、輪郭のやわらかな揺らぎに手作りの温もりを込めました。 いつものお料理をより華やかに演出するだけでなく、手にしたときの背筋もすっと伸びるような、そんな所作をも美しく見せてくれるような器です。

鯛のつけ焼き × 氷紋

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おそらく日本人にとって、いちばん縁深い魚と言えば、鯛でしょう。その歴史は古く、縄文時代の遺跡からも、鯛の骨が出土しているようです。赤い色身や、めでたいという語呂合わせから、縁起物であり高級魚として親しまれていますが、主な生息地である東アジアの諸国のなかで、鯛をそのように扱うのは日本だけのようです。また、Sghrの工房がある千葉県には、本来、海の深層を回遊する魚である真鯛が、群泳する不思議な光景が見られる、鯛の浦という場所があり(鴨川市)、国の特別天然記念物に指定されています。

『 白ごはん.com 』掲載のレシピ

● 鯛のつけ焼き

氷紋

数ある敷石の手法の一つ、氷紋敷きをイメージしたお皿です。風情ある街並みを際立たせる石畳のように、お料理も際立たせてくれます。冷たいお料理だけでなく、温かいお料理にも使っていただきたい一皿です。

『 白ごはん.com 』 https://www.sirogohan.com/

料理研究家、冨田ただすけさんが運営する、いちばん丁寧な和食レシピサイト。おもてなし料理から和食の基本まで、ほっとするような和食を作って食べたい!に応えてくれるメニューが多数掲載されています。

構成 /文 / 写真 山根晋
撮影ご協力 渡辺貞明建築設計事務所
2020年1月