ガラスのモビールができるまで

言葉や文字の新たな知覚を探るプロジェクトを多数展開されている、グラフィックデザイナーの大原大次郎さんと開発をしてきました『ガラスのモビール〈声〉』が、いよいよ今月(2022年6月)リリースされます。ちょうど1年前に、九十九里の工房へお越しいただいてから、さまざまな思考と試行を巡って完成したガラスのモビールができるまでを紹介します。

生々しさから考えて

まずは、デザイナー大原さんに千葉県九十九里の工房へお越しいただくことから、このプロジェクトがはじまりました。(2021年5月特集『ようこそ、工房へ』)ひととおり見学を終えた大原さんからは、「この生々しいものづくりの過程から、デザインを考えてみたいと思いました」といった意見が。デザインがすでにあって、それを職人の技術で形にするといったコラボレーションとは違う視点から、はたして何が生まれるのでしょうか。職人の松浦との打ち合わせでは、互いに考えている文字の性質とガラスの性質を、まさに生々しい感覚で語り合う時間になりました。

スケッチをガラスにしてみたら

前回の見学と打ち合わせを経て、大原さんから試作のための手描きスケッチがあがってきました。仮のタイトルは、『ice のモビール』。氷でできているモビールのイメージで、それが溶けていく過程の美しさをガラスに転換してみるというアイディア。固体にも関わらず結晶化せず、つまりは液体とも言えるガラスの性質をも表現できそうです。大原さんのスケッチをもとに、松浦がその場で次々と形にしていきます。一つ一つに、どういった表情があるのか、モビールとしての実現性を探っていきます。

ガラスが文字になり

わたしたちが普段使っている文字は、ものの形象や状態の組み合わせを原型としています。そのことを考えると、大原さんのスケッチに描かれていた氷、だけでなく枝や葉などを想起させる形は、たちまち文字のパーツに見えてきます。そしてガラスになったそれらを組み合わせたら、どんな文字になり、モビールにしたらどんな風景になるのだろう?そんな想像が大原さんの手の中で膨らんでいきます。ちなみに Sghr にとっても、ガラスで文字を表現するのは初の試みになります。

“声”が聞こえてきた

文字になりそうなガラスのパーツを組み合わせ、大原さんから手描きの文字デザインが送られてきました。それが、文字、風景、声の3つです。どれも馴染みのある言葉と文字にも関わらず、奥行きを感じられるのが不思議です。そのデザインをもとに松浦の方で、再度試作を重ねます。後日、できあがってきたサンプルは、大原さんが平面に描いた文字がそのまま立体になって飛び出してきたようなガラスの姿でした。そしてさらに細かい試作を重ね、最終的に“声”を作ることに。結果図らずも、Sghr の職人たちが日頃から口にする「ガラスの声を聞く」ことと重なりました。

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大原大次郎×Sghr
ガラスのモビール〈声〉

2022年 6月 15日(水)
Sghr Online Shop にて予約販売開始
特設ウェブサイトオープン

大原大次郎さんをお迎えし、モビールの魅力を体感いただくワークショップをはじめ、インスタライブなどの企画を予定しております。6月15日(水)からは、Sghr スガハラショップ青山に特設スペースを設け、ガラスのモビール〈声〉を実際にご覧いただくことができます。
詳細は、Sghr のウェブサイトや SNS で随時発信をしてまいります。

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構成 / 文 / 写真 / 山根晋