いくつもの時代の中、いくつもの暮らしを想い、
Sghrの4000種類以上のガラス製品は、
生み出されてきました。

その中で、何十年も前にデザインされた製品を眺め、触れてみると、
当時の時代感、懐かしさを飛び越えて、
いまの暮らしに取り入れたくなるような、
普遍性や面白み、愛おしさを感じることがあります。

製品に込められた想いや技術は、
時をこえて、わたしの暮らしのもとへ。
そんな、「時をこえるガラス」を選んでみました。

dimple Ⅱ (1989)

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dimple Ⅱシリーズの中で、今回選んだM-8が発表されたのが、1989年。この年、昭和が終わり、平成が始まります。昭和の大スター、美空ひばりの遺作となる「川の流れのように」が発表され、平成を代表するバンド、Mr.Childrenが誕生しました。どことなく実家にありそうな雰囲気と、ハンドメイドならではの温かみがありながら、洗練された表情。それらが混じり合い、入れる飲み物によって様々な印象をもたらすdimple Ⅱは、まさに時代の変わり目を象徴するかのようです。

ディンプル Ⅱ

高温で溶けたガラスを、急冷することで生まれる表面の凹凸により、光を浴びて落とす影が美しいグラスです。どこか懐かしさを感じるこのテクスチャーと、手作りの温かみがプラスされたディンプルは、今なお人気を誇るシリーズのひとつです。

wall vase (2001)

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21世紀が始まった、2001年にwall vaseは発表されました。この年、アップル社がiPodを発売、つづいてiTunesがリリースされました。また、イチロー選手がメジャーリーグデビューしたのもこの年です。既成概念にとらわれない自由な発想で、お花がある暮らしを楽しんでもらいたいと様々なフラワーベースを生み出してきたSghr。その中でも、シンプルな表情がありながらも、フリーハンドで表現されたガラスの袋のようなユニークな形状のwall vaseは、壁掛けフラワーベースの、さりげない革新です。

ウォールベース

手作りによるやわらかな表情をもった、壁掛けのフラワーベースです。テーブルや窓枠だけでなく、壁にも季節の花を添えて、お部屋を彩ってみてはいかがでしょうか。小さめのサイズなので、一輪挿しとしてもご使用いただけます。

#300 (1976)

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1976年、「食べるコーヒー」として流行していたコーヒーゼリーのための器を発表し、どこの喫茶店に行っても見かけるというほど爆発的にヒットした#300シリーズ。どこか宇宙的でモダンな表情に、コーヒーゼリーだけでなく、何を入れようかワクワクさせてくれる製品です。今でも、純喫茶など当時の雰囲気を残すお店では、使われているところもあるようです。ぜひ、見つけてみてください。

#300

Sghr スガハラの記念すべきヒット作第一号でもある#300シリーズは、発表から40年経った今でも、活躍するデザートグラスです。レトロさを感じるデザインながら、愛らしくもあり、今の暮らしにもしっくりと収まります。

adagio (1996)

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adagioが発表された、1996年。国内のウェブサイト数が増加し、携帯電話やPHSの契約者も急増したのがこの年。ミニスカートにルーズソックスのコギャルブームが到来、歌手の安室奈美恵のファッションを真似たアムラーが登場します。よく見ると、このadagio、ルーズソックスに見えなくもないような…。同年の安室奈美恵のミリオンヒット曲「Don’ t wanna cry」でも聴きながら、楽しく懐かしい夕刻のビールタイムをどうぞ。

アダージオ
※現在は販売しておりません。
アダージオ
※現在は販売しておりません。

アダージオ

緩やかに波打ったラインは、飲み物を入れたときによりはっきりと映し出され、目でも楽しませてくれます。また、そのラインが手にしっくりとフィットし、使うたびに心地よさを味わえます。

black & white (1984)

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日本が世界一の長寿国となり、国内初の衛星放送の開始、また、オーストラリアから6頭のコアラが初上陸し、一大ブームとになった1984年。グラスは透明なもの、というそれまでの常識をやぶり、幾度の開発テストを経て、black&whiteが発表されました。その新しいガラスの佇まいは、国内のみならず、アメリカやフランスのデザイン界隈で、大きな話題となりました。

ブラックアンドホワイト
※現在は販売しておりません。

ブラックアンドホワイト

不透明であることと、ガラスの特徴でもある艶感をあえて消すことで生まれた、美しい表情。透明なガラスとの相性はもちろん、異素材との相性も良く、モダンさをいつまでも失わないシンプルなデザインは、テーブルの上で静かに存在感を放ちます。

構成 / 文 / 写真 山根晋
2019年9月